ビジネスの賞味期限、意識していますか?

ビジネスの賞味期限、意識していますか?

先日、あるセミナーに参加してきました。

 

「ビジネスの賞味期限、を認識していますか?」

 

開始早々にこんなことを言われました。

ビジネスの賞味期限切れって聞いたことありますか?

 

カンタンに言うと、

・これまでの書店はAmazonの台頭により駆逐された

・流通・小売業などもAmazonの台頭により駆逐されるだろう(店舗の皆さんはかなりの危機感)

・単にモノを販売している店舗は賞味期限切れを起こすだろう

現在行っているビジネスが成立しなくなる(つまり、売り上げが減る)ことで、今後、賞味期限切れを起こすお店がどんどん増えるということでした。

 

着物業界はすでに賞味期限切れ?

懇親会の隣席に座っていたのが和服を販売している方でした。

突然ですが、あなたは和服、着ますか?

恥ずかしながら、私は自宅に和服を持っておらず、某量販店で購入した夏に着る浴衣くらいしかありません。

和服を販売している方の話を聞くと、着物業界は壊滅的な状況だそうで、まさに賞味期限切れを起こしている状況でした。

まず、私のように和服をそもそも持っていない人が大半になっている。

そもそも和服を着る機会がないので、購入人口が減っている。

すると、和服が売れないので、それを作る職人さんも生活に困ってしまう。

すると、和服が売れないだけでなく、手間暇かけて作ってくれる職人も激減しているということでした。

需要も供給も縮小している。

つまり、賞味期限切れを起こしているということです。

ちなみに市場規模は2007年が4,700億円だったのが2017年は2,880億円と10年で4割減少しています。(きものと宝飾社調べ)

将来、和服という文化の存続に関わってくる、そんな状況かもしれません。

 

不動産・住宅業界の賞味期限

さて、不動産・住宅業界に視点を転じるとどのような状況でしょうか。

ありがたいことに家に住まない、ということは起こらないでしょう。

生活する限り、どこかに住居を構える必要があります。

かといって、楽観視していられるわけでもないのも事実です。

・人口が減少し、世帯数が減少すれば需要が減少する

・シェア経済が若者に浸透しており5年後、10年後を考えると購入する、という夢(意識)が希薄になる

他にも様々な状況があると思いますが、現在の延長線上で前途洋々ではないことは誰しもが感じているかと思います。

早晩、賞味期限切れを起こす可能性があるでしょう。

 

着物業界で業績を伸ばしている会社が行っていること

着物業界は壊滅的な状況ですが、会社によっては売り上げを増やしているところもあるようです。

市場規模が毎年下がっている中、売り上げを伸ばすというのは驚異的ですね。

どんなことをしているのか。

あくまで聞き及んだことになりますが、

・着物を着る楽しさを体感できるイベントを頻繁に開催

・イベントを通じて顧客コミュニティを作る(着物で集まる)

着物を売ることではなく、着物を着ることによって得られる心の充実を体感してもらうきっかけを作っているそうです。

同業者からは「イベント屋か!」と言われたりするそうですが、業績は上がっていることは事実なので、正しいことなのだと思います。

着物を売ろうとしたら、着物を売ってはいけないんですね。

 

不動産・住宅会社どうすればいいのか

さて、不動産・住宅業界に置き換えるとどうでしょうか?

先ほどの言葉でいうと、家や不動産を売ろうとしたら、家や不動産を売ってはいけない。

では何を売ればいいのでしょうか。

唯一の正解はありませんが、家や不動産を売ろうとしたら、家や不動産を手に入れることによる心の充実を体験してもらうことでしょう。

例えば分譲戸建て、分譲マンションであれば分譲地ごとにコミュニティがあることを伝え、ご近所さんとの付き合いが心の充実につながっていくでしょう。

新築については、例えばバーベキュー大会を開催し、そこに施主と検討客を呼ぶ。検討客になんだかいい集まりだなぁと感じてもらえれば、それが心の充実になります。あるログハウスのハウスメーカーはすでに何度もイベントを開催している。コミュニティづくりを意識していると思います。

売買仲介は、思案のしどころですね。新築と同じような既契約者と検討中のお客様とのイベントがやりやすいかもしれません。

一例としてコミュニティへに焦点を当ててみましたが、すでに自社で実施しているものも含めて、他にもいろいろな心の充実を体験してもらうためのきっかけがあるでしょう。

 

 

当社についてはITサービスを提供していますが、新技術や新サービスの開発が目まぐるしく、賞味期限が非常に短い。

サービスだけでは賞味期限が短いので、その他の価値も提供して賞味期限を長くしていく必要がありそのための施策を検討しなければと感じています。

 

自社のビジネスが賞味期限切れを起こしそうなのか、賞味期限にならないための施策についてご検討されてみてください。