どうしてあの営業のアポイントはキャンセルになるのか
先日、あるイベントでたまたま不動産会社の営業の方とお話しする機会がありました。
その方のお話を聞くと、お客様とアポイントの予定はいただけるものの、直前になって延期・キャンセルになることがしばしばあるということでした。
どんな営業の方でも同じ経験をしたことがあると思うのですが、伺ってみるとアポイントのうち4割くらいは変更になるということ。
ちょっと異常な数字なので、詳しくアポイント取得までのお話を聞いてみました。
執念の追客
その方のアポイント取得に対する執念はすさまじいものがありました。
まず、反響があると即電をします。そこで電話がつながらないとメールを送る。
ここまでは普通なのですが、翌日以降も毎日、午前中、夕方に電話を掛けます。
そしてメールもほぼ毎日送信。
アポイント候補日を送るということでした。
そうしていよいよアポイントが取得できるのですが、直前になって延期・キャンセルされるという事態が発生しているようです。
なかなか昔ながらの追客で驚きました。
なぜお客様はアポイントを延期・キャンセルするのか
お客様がアポイントを延期・キャンセルする理由は様々あります。
本当にのっぴきならない事情で予定を延期せざるを得ないこともあるでしょう。
ただ、そうした事情は建前で本当は別の理由で延期・キャンセルをしている可能性が高そうです。
お話を伺った限り、アポイントを獲得できているのは、いわばお客様との根競べをして勝利した結果でしょう。
しかし、そこで勝利する一方、お客様の心の中には「しつこい営業」「アポイントはいつでも取れそう」という認識が植え付けられているはずです。
アポイント直前になって延期・キャンセルされるのは、会ったら粘り強く売り込まれるという恐怖心や、別の用件が入った場合にそちらを優先される(つまりアポイントの優先度が低い)からでしょう。
いわばその方がお客様の下にいるような関係となっているからアポイントの延期・キャンセルが多いのだと想定されます。
お客様にとってすぐに会う価値があるか
優秀な営業担当は自然とできていますが、アポイントを獲得する前段階で、お客様が会いたい、会って話を聞きたいと思うような関係を段階的に作り上げていくことです。
典型的でわかりやすいのは未公開物件でしょう。
売主様の都合でお会いした方、身元が確かな方にだけお見せできる物件情報がある、と伝達し来店いただく方法です。
物件情報に魅力があるかもしれないという期待から会うのであって、1回目で大した情報を提供できなければ、2回目以降は会うことは難しい。
また、どの会社も使用している文句なので、慣れたお客様にはなかなか効果を発揮しなくなっています。
他には、営業担当者自身に豊富な知識・ノウハウがあることをチラ見せし、お客様に「この営業の人からは、今までは知らなかった情報・提案があるかもしれない」という期待を持ってもらう方法もあるでしょう。いわばアドバイザーとして会うのです。
単なる物件情報だけでなく、ヒアリング力を高めるとともに、知識・情報・経験を積み上げた結果できることですので、すべての営業にできることではないでしょう。
だからこそ、お客様にとって会う価値のある営業になれます。
アポイントは取ればいいというわけでなく、アポイントを取った後のことも考慮し、どのように取ればその後もうまくいくのか、検討していきたいですね。
当たり前のことでもありますが、他山の石としていただければ幸いです。
-
前の記事
自動化は万能か? 2019.10.24
-
次の記事
営業でギネス登録された方の書籍を読みました 2019.11.14